2014年6月にMartinez(マルチネス) エレガットギター MSCC-14 RS EB Limited (限定モデル)を買いました。
そのレビュー、レポートです。
最初にお断りしておきますが、私はギターに関しては子供の頃から弾いていますが万年初心者です。若い頃は少しはバンドもやっており、エレキもベースも弾きますが全て下手で、特定の好きなジャンルもありません。特に知識があるわけでもないし、ブランクも長く、時々テキトーに弾くだけで全く我流、練習もあまりやりません。
エレガットは前にK.Yairiの10万円位のものを2002年に買って、しばらく使っていたのですが、主にネックが細すぎて手に合わないことを理由に、友人価格で手放していました。
そのギターはネックの幅が43mmだったでしょうか、かなり細くて(幅が狭い)マーチンのアコギ(ネック細めのモデル)と殆ど変わらないほどです。
私は指が太く短いだけでなく、先が尖っておらず丸まった感じです。隣の弦に指が触れてしまい、まともな音がでません。
そういう話をギター屋の人に言ったら、黒人なんてもっと太くてごっつい指でも細めのネックで上手く弾く人はいくらでもいる、と言われました。言われてみればそうなので、たぶん下手なだけでしょうけど、そうそう改善もできません。いずれにしても、ナイロン弦だと弦の振れ幅も大きいので、あまり細めのネックは合わないと思います。私は手が小さいしどうしても親指で6弦を抑えてしまうので、幅の狭いネックが良いと思ったのですが裏目に出ました。
スチール弦のアコギは何本か持っており、主に使っているのはテイラー Taylor の512(1994年製?)と314C(1999年製?)です。これはネックはやや幅広(512の方が少し薄め)ですが、とても弾きやすいです。木で作った精密機械みたいに精度も良く、今の所トラブルもありません。 よくわかりませんが、音もけっこう良いと思います。
そこでTaylorのエレガットが欲しいなと、ずいぶん前から思っていたのですが、たまたま久々に兄宅に行ったら、まさに私の欲しいモデルがあるじゃぁーないですか。
中古で安く買ったと自慢されました。手にするとけっこうデカイし、なぜかちょっと重い。弾いてみると音はイマイチという気がしないでもないですが、やはり弾きやすいです。
良いなぁ、悔しいなぁと思いつつ、俺もエレガット欲しいなと思って、2~3日後、街に出かけたついでに、とりあえず触っちゃダメよ、見るだけよと、ギター屋さんに寄ってみました。
ギターや自転車は趣味にすると子供を作ると言って、どうしても自然に増えちゃいます。(俺は二世帯住宅の居候か?)ついでに言うと、ギターと本は人に貸すとそこんちの子になってしまい、遊びに行ったはずが養子になってしまいます。
お気をつけ下さいませ。
店内でふと見ると、見慣れない、小ぶりでなかなか良いデザインのエレガットがぶら下げてあるじゃーないですか。限定品で傷物とはいえ、もちろんきちんと直してあり、です。俺はそういうのに弱い。Martinez(マルチネス)という名前ですが、ここ数年ギターの本も見てないし楽器屋にも寄らないし、初めて聞くブランドです。
弾いてますか、いやいいですよ、試しに弾いてみるだけでも、う、ぅ、ぅ…(だからダメだって)
店員さんがチューニングをしていると、ズドーンとAの低音が耳に飛び込んできました。小ぶりで薄いのに、低音でるなぁと思ったら、何と!アンプに繋いでいません。驚きましたが、サウンドホールが側板の上肩の所にあり、そこからモロに耳に飛び込んできたのです。これだけでも買いかっ!(だから…)
弾いてみると弾きやすいし、ボディの大きさの割りに、不思議なくらい低音も出るのに、高音も詰まった感じがせず抜けの良い良い音です。見た目も気に入ったし、ネックの幅もフォークギターとクラシックの中間位(48mm)でよい感じ。
これは願ったりかなったり、まさに私の買うべきギター!、一期一会、という気もしましたが、もちろん金もありません。
やっと思いととどまって、ちょっ考えさせていただいて、と店を出ました。
ともかく頭を冷やすことにして、家に帰ってネットで情報集めです。概して値段の割りにとても良い、という評判のようです。何本かは新品キズモノを直したり、小さい傷アリといったものが割引で出回っていました。店員さんも言ってましたが、輸送中の事故によるものだそうです。
傷は気にならないけど、もしかすると傷だけでなく他にダメージがあることも考えられるので、そこが引っかからないでもないですが、やはり買い!か。金は何とかならないでもないなぁ。
やはり2~3日後、ギター屋さんに行くと、「絶対、また買いに来てくれると思ってましたよ~」と笑顔で歓迎してくれました。
その前に冷静に検討するために、他のギター屋さんにも行って、比較のため2~3のエレガットを試奏させて頂いたところでは、20万以上出せばもっと良さそうなのもありますが、10万そこそこかそれ以下だと、このマルチネス以上の製品もないのではないかと思えました。
念のため、キレイに直してあるとはいえ、やはり事故品なので舐めるように見ましたが問題はなさそうです。傷もキレイに直してあり、底部なので殆ど目立ちません。ペグも交換されていますが、ゴトーのけっこう良いモノです。
もし問題があれば一応新品だし保障もあるし。
他にMSCC-14 MS(表板:スプルース、側板:メイプル)やMSCC-14 OV(オバンコール)も置いてあったので弾いてみると、材質の分、違いはあり、やはりMSCC-14 RS EB Limited の方が音が良い感じです。個性はあるので良し悪しではないかと思いますが。傷修復品のため、値段は安くなっています。
私の買ったMSCC-14-SR EB Limited は(表板:スプルース、側板:ローズウッド)ですが、限定品で指板がエボニーです。ブリッジはどう見てもエボニーではなくローズで、マイク・プリアンプは「B-BANDによるオリジナル設計のD-pro」です。限定品でも、ブリッジもエボニー、マイクが Fishman の違う仕様のモノもあるようです。マイクはFishman の方が評判は良いみたいで、私のB-BANDはイマイチという気がします。ろくなアンプも無いのでよくわかりませんが。
お店の人からは、ネック・オイルを勧められましたので、それも買いました。エボニーは特に湿度等の影響を受けやすく、乾燥するとひび割れたりするようです。ヒビが入っても、大きく割れたり、中まで割れたりすることは少なく、使用にはさほど問題が無い場合も多いようですが、注意やメンテが必要なようです。
家に帰って、手持ちのガットギター、茶位 No.6 と比べてみると、最初はやっぱり茶位の方が良いかも?失敗したかな?と少しがっかりしました。茶位 No.6 は知人から貰った、既に35年ほど経っているモデルで、あまり弾いていませんが、それなりにこなれた音がします。当時も値段(6万円?)の割りに音も良いという評判だったと思います。
しばらくしてまた比べてみると、マルチネスの方がだいぶ良い音のように聞こえました。少しエージングが進んだか、耳が慣れたか?
というよりも、傾向は全く違ってクラッシック・ギターではなくあくまでエレアコです。響きはあるけど、奥行きや広がりはあまりない、アタックの強い粒立ちの良い感じ。上手い例えではないけど、セミアコに対してソリッドみたいな。
ガットギターだと適さない、ピック弾きでも相性がよいようです。コードストロークも、場合よっては、やりようで使えなくも無い感じ。
音について、あまり私が云々してもしょうがないので、以下が参考になります。感じとしては一番上の映像が特徴が良く出ているようで、やはりだいたいこんな感じの音かと思います。もちろん私は下手だし機材も違いますが、テキトーに一緒に弾いてみてもある程度似た音ではあり、あまり違和感はありません。
【Brusheight】Martinez “MSCC-14RS /EB” #2【売約済】
https://www.youtube.com/watch?v=iTWguTmUHCQ
Martinez MSCC 14 www.alphenaar.com Marcel Hustings
Dolphin Guitars – MARTINEZ MSCC-14RS Demo by 古川忠義
ボディが薄くて小さいのに、何でこんなに良く音が出るのか?
少なくとも、ボディの大きさや薄さの割には、低音もずいぶん出ているし全体の音量もある。値段の割には十分、掛け値なしに(変な日本語だなぁ)良い音だと思います。ちなみに定価125,000円、2/3以下の値段で買いました。
構造的には、大聖堂も良く響くけど、トンネルも良く響くという感じでしょうか?ボディの奥行き方向より、前後(上下)方向で響かせているみたいです。側板のサウンドホールから出る音が直接、奏者の耳に届くため、弾いている人に良く聞こえるので有利?もしくは、お徳?…かな?
ボディの板厚はかなり薄くて、重さもだいぶ軽いです。
表板の振動が大きく、少し手で押さえても音がずいぶん変わります。太鼓の皮やパンジョーのヘッドみたいにと言うのは大げさですが。
他の弦にも振動が伝わりやすく、2弦~5弦でEの音を出せば1弦や6弦のEがかなり響きます。従ってコードも良く響く感じですが、相互干渉が大きく、良し悪しはあるかと思います。
軽く弱いタッチで弾いても音が良く出ますが、強く弾いてもそんなに大きくは響かない?どちらかと言えば、ピッキングの弱い人、初心者でも良い音が出る?
強く弾けば高音は鋭く出ますが、全体としては倍音の幅、ダイナミックレンジはあまり広くはないのかな?という気がします。よくわかんないですけど。
24Fまでありますが、最初は音が出るだけ?かと思いましたが、高音まで使える音が出る感じです。
裏板でさえ普通のアコギ並みに振動している?、実際にはローズなのでそれ程ではありませんが。
一般的にギターの場合、裏板はそれ自体が振動して音を出すというよりは、音や振動を反射する、はね返すという機能が大きいかと思いますが、このギターの場合は裏板自体がモロに振動して音を出している?
音質的にも構造的にも従来のギターとは全く違うコンセプトで作られているのではないか?
おそらく品質管理や加工精度、接着剤の質の向上など、現代のテクノロジーがあって初めて製作可能となった、新世代のギターだと思います。俺はまた、こういうのに弱んですよね。
古い奴だとお思いでしょうが、古い奴こそ新しいものを欲しがるもんでございます。by鶴田浩二(これまた古い!)
したがってエージングも早く進みそうで、実際に音が良くなってくるのが早いように感じます。ギターがオールドになる前に、こっちがオールドどころか寿命が尽きてしまうでしょうからこれは良いことです。
たまたま梅雨時に買ったので、顕著に感じたのかもしれませんが、湿度等の影響も受けやすいようです。
ネックは48mm、エレガットにしてはちょうど良い感じかな。カマボコ、というよりUシェイプ、というか円弧に近いかな?、上下にあまり出っ張りが少ない?エラが張っていないシェイプで割りに薄め、トラストロッドは入っています。
テイラー Taylor から持ち代えてもあまり違和感はありません。テイラーに比べると他のギターは丸太を握っているような、無造作に作ったシェイプに感じられることが多いんですけどね。
中国製ですが、特に品質に問題はなさそうです。
狭い私見ですが、ギターに関しては韓国製はあまり良くなかったけど(最近は良いのかな?)、中国製はそう悪くない印象です。あくまで普及品としてですが。
中国製は後発なので、以前の経験を生かして日本人や外国の職人(マルチネスはドイツのメーカーなのでドイツ人?)が、製作法、品質管理など徹底指導しているためか思われます。良材も得やすいと聞いたことがあります。
そういうわけで、耐久性などちょっと不安がないでもないですが、今の所、問題はありません。
以上、参考になったかどうかわかりませんが、このギターの特徴を理解して使うならば、やはり値段の割りにとても良いギターだと思います。
音が良いので飽きないし、ナイロン弦は指に優しいのでずっと弾いていられます。
これ一本だけ部屋に出しっぱなしで、あとはケースに入れてたまにしか出さず、実にいい加減に弾いていますが、普通のアコギに比べると、(本格的にはつかえませんが)クラッシクを弾いてもいいし、音は全然違うけどフルアコを弾いているような気にもなれるし(俺だけか?)応用性、汎用性もあるような気がします。
夜中でも弾きたいですが、音量が結構出るだけに気が引ける。
そこで、Crafter クラフター CT/CTSシリーズのエレガットギターが欲しくなったり。これはソリッドをくり抜いたボディなので、生音は小さい。値段もそんなにしないし。
またまた子供を作ってしまいそう。ご利用は計画的に!ね。
Martinez、マルチネス、エレガットギター、MSCC-14 RS、 レビュー、ユーザー、レポート、評価、感想、評判、エレアコ、クラッシック・ギター、買いました、購入、買った、試奏、ピエゾ、マイク、プリアンプ、ネック、ボディ、オバンコール、スプルース、ローズウッド、Taylor、テイラー、アコギ、Crafter クラフター CT/CTS
催眠療法、精神医療、ブログ